塩という魔法の調味料

 先日、NHKで人類と塩の関係について興味深い番組を視聴しました。祖先が海から上陸した人類にとって、塩=ナトリウムはなくてはならない要素で、ナトリウムは微弱な電気信号を発生させて細胞間の伝達や受精のためなどに重要だとのこと。しかし、日本人は、本来体が必要としている量(2g/日)のなんと5倍も摂取しているとのことでした。ちなみに小さじ1杯の塩は5g。マサイ族は、牛のミルクを主食としており、成人で約2リットルも飲むそうですが、ミルクに含まれている塩分のみの摂取でまかなっているらしいのです。その摂取量が2g/日。塩は、あらゆる料理を美味しくしてくれるもの。私たちは、食生活が豊かになり、知らず知らずの間に塩分摂取量が増えていったのではないでしょうか?塩分の過剰摂取によって、体が余分な水分補給を欲して高血圧となり、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害を引き起こしたり、がんの要因にもなったりするようです。しかし、野菜や穀物のみの食生活に偏った場合、カリウムの摂取過多となり、生命維持に危険なために腎臓は余分なカリウムをナトリウムと一緒に排出するため、ナトリウム不足となるとのことです。このために人類は農耕が始まった8000年前からナトリウム不足となり、必要なナトリウムを摂取するために人工的に塩を精製する技術を身に付けたというのです。また、脳からナトリウムを求める信号を受けて、塩分を感じるために進化した舌は、塩が含まれているものを美味しいと感じる。例えば甘いスイカに塩を振ればより甘く感じるし、てんぷらやサラダなどの生野菜に塩分が加われば舌が美味しいと感じてたくさん食べられるらしいのです。だから美味しいものを求めれば求めるほど塩をたくさん摂取してしまう悪循環に陥っているとのこと。しかし、年齢を重ねるほどに、塩分調節をしている腎臓はその機能が衰えていく。近年減塩の調味料や食品が増えていますが、人生100年時代を生き抜くためには、減塩を心がけ、腎臓の負担を軽くすることが大切だと締めくくっていました。
 最後に、減塩料理のコツとして、塩分を感じる舌をだますために、魚の表面だけに微量の塩を振って美味しさを感じるようにした料理を紹介していました。
 自分や家族の健康のために、必要最低限な塩でできる美味しい料理に挑戦してみたいと思いました。